5分でわかる!非保存力がはたらく場合
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この動画の要点まとめ
ポイント
力学的エネルギー保存則が成立する条件
本題に入る前に、力学的エネルギー保存則について復習しておきましょう。
重力のような 保存力だけがはたらく場合 、 力学的エネルギー(運動エネルギー+位置エネルギー)は保存される のでしたね。 保存力 とは、力学では 重力 と 弾性力 のことを指しましたね。保存力では、物体にはたらく力のする仕事が、途中の経路に関係なく始点と終点の位置だけで決まるのでした。
保存力と非保存力の違い
一方、 非保存力 とは、これに当てはまらない 張力 や 動摩擦力 、 人の加える力 などを指します。物体に非保存力がはたらく場合、基本的には力学的エネルギーは保存されません。しかし、ある条件のもとでは力学的エネルギーが保存される場合があります。
非保存力による仕事が0であれば…
次の図を例にして解説していきます。
図は、物体の先端に長さℓ[m]の糸を取り付け、静かに手を離したときの運動を表しています。このとき物体は初速度0[m/s]で、取り付けた点を中心に半径ℓ[m]の円軌道を描きますね。
この運動に注目したとき、どんな力がはたらいていますか。まず物体には保存力である重力がはたらきますね。そしてもうひとつ糸の張力がはたらきます。この糸の張力は 保存力ではない力 で、 非保存力 です。したがって、物体の力学的エネルギーが保存されない!と思うかもしれません。しかし、下の図で張力の方向と物体の移動する方向がなす角をよく見てください。
張力と移動方向が 垂直 であることに気付きましたか。はたらく力と移動方向が垂直のとき、仕事Wは0でしたね。つまり、この 張力は仕事をしません 。仕事をしないということは、 物体の持つ力学的エネルギーにまったく影響を与えない ということです。つまり今回の場合では、重力だけがはたらく場合と同じように力学的エネルギーが保存されるのです。
物体に非保存力がはたらいていても、仕事をしない場合は、保存力だけがはたらく場合と同じで力学的エネルギー(K+U)は保存される ということをしっかりと覚えてください。
今回からは 非保存力がはたらく場合の力学的エネルギー について、合計2回の授業で解説していきます。