5分でわかる!力積と運動量(一次元)
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この動画の要点まとめ
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どちらの場合も、割れると思いませんか?答えはなんと、「コンクリートに落下したグラスは割れて、スポンジに落下したガラスは割れない」のです。なぜコンクリートとスポンジで結果が異なるのでしょうか。理由は 一次元の力積と運動量 を使うことで説明することができます。
速度は「与えた力の大きさ」と「力を加える時間」に関係
力積 と 運動量 は、この授業では初めて登場する言葉ですね。これら新しい2つの物理量を、例を使って解説しましょう。下の図のような、移動するボールに力を加えた場合を考えます。
左側には、質量m[kg]、初速度v0で進むボールが描かれています。このボールに速度と同じ方向に力Fを加えてt秒間経過したところ、速度がvに変化しました。
力を加えたら、当然ボールの速度は 増加 しますよね。ボールに与える力Fの値が大きければ大きいほど速度は増加し、時間tの値が大きければ大きいほど速度が増加するーーこれは、なんとなくイメージがつくと思います。つまり、力Fと時間tは、速度v0からvへの変化に影響を及ぼしています。
力積は「力の大きさF」と「力を加える時間t」の積
では一体、F、t、v0、vの間にどのような関係式が成り立つのでしょうか。
物体における運動方程式をもとにして考えていきましょう。右向きを正の方向として加速度をaと置くと、以下のような運動方程式が立てられます。
ここで知りたいのは、F、t、v0、vの関係ですよね。加速度aは、 速度の変化量を時間で割り算したもの になります。速度はv0からvに増えたので、加速度aは、t、v0、vを使って次のように表すことができます。
加速度aについての②の式を、先ほど求めた運動方程式①に代入して整理すると、次のような式が出てくるのです。
左辺に F(力)×t(時間) 、右辺に m(質量)×v(速度) と2つの新しい物理量が登場します。Fまたはtの値が大きければ大きいほど、速度vの値も大きくなる理由が式からわかりましたね。この 力の大きさと力がはたらく時間の積、F(力)×t(時間) のことを 力積 といい、 質量と速度の積、m(質量)×v(速度) のことを 運動量 といいます。
力Fは一般的にベクトルで表わすので、 力積もベクトル で表します。また、速度vも一般的にベクトルで表わすので、 運動量もベクトル で表わします。力積も運動量も「大きさ」と「方向」を同時に表すものだということをおさえておきましょう。
力積=運動量の変化
力積Ftと運動量mvの間には、ぜひ覚えてほしい関係があります。先ほどの式に戻りましょう。
右辺のmvのvは運動後の速度であり、mvは運動後の運動量となります。一方、mv0のv0は運動前の速度なので、mv0は運動前の運動量となります。
つまり、右辺は 運動量の変化を表している のです。したがって、上の式から分かるように、 力積は運動量の変化と等しい のですね。
力積と運動量の単位は?
力積と運動量の単位も確認しておきましょう。力積は力(単位は[N])×時間(単位は[s])なので、単位は[ Ns ]となります。運動量は質量(単位は[kg])×速度(単位は[m/s])なので単位は[ kg・m/s ]となります。
以下に今回の要点をまとめたので、よく覚えておきましょう。
この力積の内容を踏まえ、なぜ上からグラスを落としたときのコンクリートとスポンジの割れ方が異なるのか、皆さんも考えてみて下さい。答えは練習2の問題で解説しましょう。
突然ですが、皆さん。手に持った2つのグラスを落下させ、それぞれコンクリートとスポンジにあてたらどうなるか、予想してください。