前回は一直線上での2物体の衝突について学習しました。今回は 2物体が斜めに弾性衝突する場合 について考えていきます。

2物体の衝突の例をあげる前に、弾性衝突について少しおさらいしましょう。 反発係数eが1のときの衝突を弾性衝突 といいましたね。弾性衝突では、衝突前と衝突後の速さが同じになるので、 運動エネルギーが保存 されます。

図は2物体が衝突する前の様子を示しています。

静止している物体Bに、物体Aが速度v₀で近づき、 斜めに衝突 します。衝突後は、2物体が次のように斜めに進みました。衝突後のAの速度をv、Bの速度をVとします。

この運動において、一体どんな力がはたらいているでしょうか。物体Aが物体Bに当たった瞬間、AがBを押す力をFとします。するとその 反作用の力 、BがAを押し返す力もはたらきますね。

Bは元々静止していましたが、Aの衝突で力を加えられたので、Bが移動する方向は受けた力の方向と同じになります。Aは斜めに力を受けましたが、元々速度を持っていたので衝突後にどの方向に進むのかは、よくわかりません。

この衝突前後では、AとBを 物体系 としたとき、作用・反作用の 内力 しかはたらいていませんね。つまり 外力がまったくない ということになります。2物体による斜衝突の場合でも、外力がなければ 衝突の前後で運動量は保存 されます。

また 弾性衝突のとき、反発係数eは1 になり、 運動エネルギーが保存される のでしたね。したがって、2物体が斜衝突をするとき、弾性衝突であれば以下のことが言えます。

外力がなければ運動量が保存され、弾性衝突なら運動エネルギーが保存されることは、2物体の衝突の場合でも当てはまります。