5分で解ける!2物体の斜衝突(弾性衝突)に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
「速さ」では運動量保存の式が立てられない
今回の問題では、斜衝突後に斜めに進んでいった2つの物体の成す角度α+βが一体いくらになったのかということを求めます。
衝突前後で、物体系には 外力 がはたらいていません。したがって、 運動量が保存 されています。ここで運動量保存の式を立てたいのですが、注意してほしいことがあります。それは 運動量がベクトル であるということです。今回与えられている情報は 速さ で、 大きさのみを表す物理量 ですね。速さでは運動量の示す 方向が分からない ので、単純に衝突前の運動量mv0と、衝突後の運動量mv+MVが等しいと運動量保存の式を立てることができないのです。
運動量の保存を表す方法→分解、作図
では、 斜衝突の場合に運動量の保存を表す にはどうしたらよいでしょうか?
方法は2つあります。
1つ目は、 分解 です。衝突前の物体Aの速さv0をx方向とy方向に分解して表すという方法です。cosやsinを用いることになるので少し手間が掛かりそうですね。
この分解よりももっと楽な方法があります。
方法その2、 作図 で捉える方法です。 衝突前の運動量と衝突後の運動量をベクトルで表したとき、それぞれのベクトルの和が一致する ということを覚えていますか? 今回の問題では、衝突前後のそれぞれのベクトルを実際に 作図 して、考えてみましょう。
ベクトルの和を作図しよう
では、衝突前の運動量から考えていきましょう。衝突前、物体Bは静止しているので、物体Aが持つ運動量だけ考えればよいですね。物体Aの運動量は、右向きで、大きさはmv0です。
次に衝突後の運動量を考えます。物体Aの運動量は斜め上向きに大きさmvで、入射方向と成す角度がαになります。物体Bの持つ運動量の大きさはmVになり、入射方向と成す角度がβとなります。
弾性衝突では衝突前後の運動エネルギーは保存
ここで、α+βの値を求めるには、もうひとつ考えなくてはならない条件があります。この衝突は 弾性衝突 でしたね。弾性衝突では 衝突の前後で運動エネルギーが保存される のです。衝突前の運動エネルギーと衝突後の運動エネルギーが同じだということを式で表してみましょう。
式をよくみると1/2とmが消去できますね。
したがって、
v02 = v2 + V2
となります。ここで先ほど作図した三角形をもう一度確認しましょう。
すべての辺にmが付いているので、3辺の比は v0:v:V です。この三角形の辺の長さには v02 = v2 + V2 という 三平方の定理 が成り立っているので、 作図した三角形はv0を斜辺とした直角三角形 だということがわかります。1つの角度が90°なので、残りの角度αとβの合計は90°になります。
この結果から、 弾性衝突の斜衝突ではどんな位置にあったとしても2物体の進む方向の成す角度は必ず直角になる ということが言えますね。
2物体が斜めに弾性衝突する問題ですね。 弾性衝突 であるという条件はとても便利です。弾性衝突では 運動エネルギーが保存される 点を意識して、問題を解いていきましょう。