5分でわかる!気体分子運動のとらえ方
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この動画の要点まとめ
ポイント
気体分子の運動を2次元で考える
下の図のような、1辺の長さがLの立方体の容器に気体分子を封入することを考えます。
この容器の中にある1個の気体分子の運動に注目しましょう。1個の分子は運動し、いろんな壁に衝突しながら進んでいますよね。このときに気体分子が壁に与える力がわかれば、(力)÷(面積)で圧力を求めることができます。
ただし、分子の運動は非常に複雑ですよね。分子は空間を移動しているので 3次元 の運動、つまり、x軸とy軸とz軸の3方向の軸を考えなくてはなりません。
3次元で考えると非常に複雑になるので、まずは気体分子の運動を 2次元 で考えてみましょう。
1方向に注目すれば、単純な往復運動
気体分子の運動をx方向とy方向だけ考えると、運動は下のような図になります。
2次元でとらえると、分子はx座標がLである壁に速さvで衝突しています。このとき、分子が壁に衝突してはね返る時には2つ条件が必要です。1つは 壁は滑らかである 、つまり 壁に摩擦はない ということ。もう1つは 壁との衝突は弾性衝突である ということです。弾性衝突とは 反発係数が1 である衝突でしたね。
上の図で、分子の質量mと速度vがわかれば、運動量mvと力積Ftの関係から、分子が壁に与える力を求めていくことができます。このとき、分子が壁に対して 斜めに衝突 していることに注意してください。速度を分解する必要がありますね。壁を基準に、速度を壁に垂直な成分vxと壁に水平な成分vyに分けましょう。壁に衝突した後、分子の運動方向は変わりますが、反発係数が1なので速さは同じままですね。
この衝突で影響を受けるのは壁に直角なx成分のみで、平行なy成分は影響を受けません。さらに、この後の分子の運動を見てみると、次はy座標がLの壁にぶつかりy成分だけ変化します。さらに次にx座標が0の壁にぶつかり、今度はx成分が変化します。
ここで、分子の運動をx方向のみに注目すると、x座標が0の壁とLの壁の間を 往復運動 している単純な運動であることが分かります。それが下の図です。
衝突前にはvxだった速度が、衝突後は方向が変わり−vxになっていますね。気体分子の運動は3次元で複雑ですが、1方向にのみ注目すると実に単純な運動をしていることが分かります。
このポイントをしっかりおさえた上で、次の練習問題で気体分子が壁に衝突するときの力を求めてみましょう。
気体の圧力は、気体分子の運動によって生じる力です。ミクロ的な視点で、気体の分子運動をとらえ、圧力について考えていきましょう。