5分で解ける!電池の仕事、コンデンサーのエネルギー収支に関する問題
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この動画の問題と解説
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解説
静電エネルギーと電池のした仕事の違いに注意
スイッチSを閉じると、電池は電荷を運びます。電池の負極を0[V]、正極をE[V]として図に書き込みましょう。
コンデンサーの電位差は、電池の起電力Eと等しくなります。コンデンサーの基本公式より、 蓄えられた電気量Q は、
Q=CV=CE
ですね。
静電エネルギーU は公式より、
U=(1/2)QV=(1/2)×CE×E
電池のした仕事w は 電荷が得た位置エネルギー に等しいので、
w=QV=CE×E
電池のした仕事wは、静電エネルギーUではなく、電荷が得た位置エネルギーと等しくなるのでした。
(電池の仕事w)-(静電エネルギーU)=(熱エネルギーH)
回路は、導線に電流が流れることにより熱が発生します。(2)では、その熱エネルギーHを求めましょう。
注目したいのは、 静電エネルギーUと電池のした仕事wの間に差がある ということです。コンデンサー回路のエネルギーの一般的な収支は以下の式で表されましたね。
(2)までの問題には外力がはたらいていないので、W=0です。したがって、 熱エネルギーHは静電エネルギーU、電池のした仕事wの差と等しくなります ]よね。
スイッチを開くと、電池は電荷を運べなくなる
コンデンサー回路のエネルギーの一般的な収支は
W+w=ΔU+H
です。この式について、 スイッチSを開いた 後、誘電体を入れるとき、 w=0、H=0 となることに気づきますか?なぜなら、スイッチSを開くことによって、電池は電荷を運べなくなり、一切仕事をしません。電流が流れないので、熱エネルギーも発生しません。つまり、
W=ΔU
です。 誘電体を入れた後の静電エネルギーU'と、誘電体を入れる前の静電エネルギーUとの差を求めればよい のですね。
孤立した極板の電荷は保存される
では、 誘電体を入れた後の静電エネルギーU'と、誘電体を入れる前の静電エネルギーUとの差 を求めていきましょう。(1)より、 U=(1/2)CE2 です。一方、誘電体を入れた後の静電エネルギーU'はどうでしょうか?
充電により、コンデンサーにはQ=CEの電荷が蓄えられました。この状態から、スイッチSを開いて、極板間を誘電体で満たします。
上の極板が 孤立 したことに注目しましょう。孤立した極板の電荷は保存されるので、この状態で極板間に誘電体を入れても、 帯電量Qに変化はない のですね。変化するのは、 コンデンサーの電気容量 になります。誘電体の比誘電率は2なので、 電気容量は2C となりますね。よって、 誘電体を入れた後の静電エネルギーU' は、
U'=(1/2)×(Q2/2C)=(1/4)CE2
あとは 外力W=U'-U から答えを求めることができます。
コンデンサー回路におけるエネルギー収支について考える問題ですね。小問に従って、順に求めていきましょう。