5分でわかる!並列共振
- ポイント
- 練習
この動画の要点まとめ
ポイント
並列共振とは?
この回路では、交流電圧がある特定の周波数になると、コイルとコンデンサーの間のみで電流が流れる 並列共振 という現象が起こります。今回はこの回路をもとに、 並列共振が起きる条件 について解説していきましょう。
Ie=IC+ILは成り立たない!
並列共振が起きる条件 と言われても、すぐにピンとは来ませんよね。1つ1つ順を追って考えていきましょう。
次の図で交流電源の電圧の実効値をVe、電流の実効値をIe、角周波数をωとします。このとき、コンデンサーとコイルを通過する電流を、それぞれIC、IL(すべて実効値)とします。
まず、この回路で電流についての関係式を考えてみましょう。回路の分岐点に流れ込む電流と流れ出す電流を考えて、
Ie=IC+IL
とするのは誤りです。なぜだか、わかりますか?
答えは、 位相がズレている からです。Ie,IC,ILはすべて 実効値 ですよね。実効値とは(最大値)÷√2で表される数値です。位相がズレているとき、コイル、コンデンサーは、それぞれ 電流が最大になるタイミングが異なってきます。 Ie,IC,ILが同じタイミングで回路に存在していない限り、Ie=IC+ILの等式は成り立たないのです。
ベクトルIC,ILの和で考える
では、電流についてどのような関係式を立てたらよいでしょうか? このように 位相がズレている ときは、 ベクトルの和 で考えるのがセオリーです。
コンデンサーCとコイルLにかかる電圧は等しく、位相にズレはありません。Veのベクトルを真横に取り、位相差を考慮してIC,ILのベクトルを図示すると次のようになります。
コンデンサーに流れる電流ICは、電圧Veよりも90°進んだ位相となります。一方、コンデンサーに流れる電流ILは、電圧Ieよりも90°遅れた位相です。
このように2つの電流の位相がバラバラなので、電流の合計は単純な足し算ではなく、ベクトルの足し算で考えます。 ベクトルIC,ILの和が、回路全体の電流の実効値Ieとなる のです。したがって、
Ie=|IC−IL|
と立式できますね。IC,ILはどちらの電流が大きいのか不明なので、絶対値をつけるのを忘れないでください。
「Ie=0」のとき「並列共振」が起こる
図の回路で、 Ie=|IC−IL| が成り立つことがわかりました。
では、コイルとコンデンサーの間のみで電流が流れる 並列共振が起こる条件 について考えてみましょう。
コイルとコンデンサーの間のみで電流が流れるということは、 交流電源から電流が全く流れない状態 のことですね。つまり、 Ie=0 です。これと Ie=|IC−IL| より、 IC=IL が 並列共振が起こる条件 だとわかります。
「並列共振」が起こるのは「リアクタンスが一致」
さらに、IC,ILを電圧Veを用いて表すと、
IC=(ωC)×Ve
IL=(1/ωL)×Ve
したがって、
IC=IL
⇔(ωC)×Ve=(1/ωL)×Ve
⇔ ωC=1/ωL
が 並列共振が起こる条件 だとわかります。
リアクタンスが一致 するとき、交流電源からは全く電流が流れなくなり、閉回路にのみ周期的に変化する電流が流れるのですね。
交流電源に対して、コンデンサーCとコイルLを並列接続した回路を考えます。