5分でわかる!電子の加速
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この動画の要点まとめ
ポイント
電位差V[V]の極板間に電子を置くと……
例えば、次の図のように、起電力V[V]の電池に2つの極板をつなぎ、負極の方に電気量−e[C]、質量m[kg]の電子を静かに置くことを考えます。
左側の負極板を基準の0[V]とすると、正極板はV[V]となりますね。電場の向きは左向きになります。このとき、負極板に置いた電子がどのような運動をするかわかりますか?
電場が左向きにはたらいているので、 電子は右向きの静電気力 を受けます。電場は+1[C]の正電荷が受ける力を表すため、電子は電場と逆向きの力を受けるのです。電子が受ける静電気力の大きさをFとすると、(静電気力F)=(電気量q)×(電場E)より、
F=eE[N]
となりますね。
電子の力学的エネルギーに注目
負極板の電子は初速度を0として、右向きの力 F=eE[N] を受けて加速します。
高電位の正極板を通過したときの電子の速さをv[m/s]とすると、vの値はどう表せるでしょうか?
カギになるのは、 力学的エネルギーの保存 です。電子にはたらく力は、保存力の静電気力だけですよね。物体に保存力だけがはたらくとき、その物体の力学的エネルギー、つまり 運動エネルギーKと位置エネルギーUの和は一定 になるのです。
電子の力学的エネルギーは、
(運動前) K=0, U=eV
(運動後) K=(1/2)mv2, U=0
より、
(1/2)mv2=eV [J]
が成り立ちます。この式をvについて解けば、極板を通過したときの速さがわかりますね。
もし電子を加速する問題で、 「電子を電圧V[V]で加速」 とあれば、 「力学的エネルギーはeV[J]!」 と反応できるようにしておきましょう。
エネルギーの新しい単位 eV(エレクトロンボルト)とは?
電気素量がe=1.6×10-19[C]であることを考えると、電圧V[V]で加速を受ける電子のエネルギーeV[J]はとても小さな数字ですよね。そこで、原子の世界では新しいエネルギーの単位が登場します。エレクトロンボルトと読む [eV] です。 1[eV]は、加速電圧が1[V]であったときの電気量eの電子が得るエネルギー と定義されます。
つまり、 1[eV]=e[J] となるのです。
ここからはミクロの視点で電磁気を考えていきましょう。 電流の正体 が 自由電子の移動 であることはみなさんもよく知っていますよね。今回は、電場をかけた空間で電子がどのような運動をするのかを見ていきたいと思います。