5分でわかる!コンプトン効果、光子の運動量
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この動画の要点まとめ
ポイント
X線も波動性と粒子性をあわせもつ
コンプトン効果を具体的に確認していきましょう。下の図はある物質に、波長λ[m]のX線を照射している図です。X線は 波長の短い電磁波 の一種ですね。
散乱X線の中には、照射X線の波長λ[m]とは違う波長λ'[m]の波が発見されました。入射波と反射波の波長は等しいはずで、X線を波だと考えると説明することができない現象です。
そこで、コンプトンは、アインシュタインの唱えた光量子仮説に基づき、 X線も、波動性と粒子性をあわせもつ光子の流れである と考えたのです。
「質量が0」の光子の運動量は?
コンプトンは、光子の運動量をP、エネルギーをE、高速をcとすると、
P=E/c
の関係式が成り立つと考えました。
光子の運動量が、なぜ P=E/c の形になるのかを説明していきましょう。
例えば質量mの物体が速さvで進んでいたら運動量Pはmvと表せますね。光子の運動量を考える場合も、光子に質量があれば同様に計算できますが、実は 光子の質量は0 なのです。質量が0なのに運動量を持つ場合、光子の質量に相当するものは何かを考えなくてはいけません。
実は、後の単元で学ぶ、アインシュタインが考えた 質量とエネルギーの等価関係 が使われます。エネルギーEは、質量m、光速cを使って、 E=mc2 と表すことができるのです。つまり、光子は質量がありませんがエネルギーを持ち、ここから m=E/c2 に相当するとなるのです。
光子の運動量の式P=mcに代入すると、以下のように運動量を求めることができますね。
P=mc=(E/c2)×c=E/c
となりますね。さらに光子の振動数をν、波長をλ、プランク定数をhとすると、E=hν、c=νλの関係から、以下のように式変形できます。
コンプトン効果が起こるメカニズム
コンプトン効果について、もう少し補足の説明をしましょう。入射X線の波長λが、散乱X線の波長λ'へと変化している場合、物質の中では何が起こっているのでしょうか
物質の中には電子がありますよね。実は、 光子と物質の電子との衝突によって波長が変わる のです。この衝突による波長の変化を求めるには、 光子の運動量P=E/c=h/λ の式を使います。次の練習問題を通して、コンプトン効果による波長変化を式で表してみましょう。
物質にX線をあてると、様々な方向に波が広がる 散乱 現象が起こります。波であれば散乱前後の波長は同じですが、散乱X線の中には入射X線よりも波長の長いものが含まれていました。X線を波動と考えると説明がつきません。この現象を コンプトン効果 といいます。20世紀初頭にこの現象を確認したコンプトンは、 X線が光子の流れである という仮説を立てました。