5分でわかる!連続X線
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この動画の要点まとめ
ポイント
正極側のターゲットと、負極側のフィラメント
X線は、次の図のような装置で発生します。
起電力V[V]の直流電源があり、電源の正極側には斜めにカットされた金属を接続します。この金属のことを ターゲット と言います。ターゲットとは、的のことですね。一方、負極側には フィラメント を取り付けます。フィラメントとは、電流を流すことで 熱電子を放出する細い線 のことです。電池をつなぐことで熱されたフィラメントから飛び出す電子を 熱電子 といいます。
電子がターゲットに衝突するとX線が発生
フィラメントが0[V]、ターゲットがV[V]であるため、電子はターゲットに向かって加速されますね。ターゲットに当たる直前の電子の速さをvとすると、衝突直前に電子が持つ運動エネルギーはeV[J]と表すことができます。
(1/2)mv2=eV[J]
この関係を表す式は覚えてしまいましょう。
電子はターゲットに衝突すると、静止します。このとき、 X線が発生 します。
連続X線と固有X線とは?
X線が発生するのは、電子が失ったエネルギーが X線の持つエネルギーに変化 しているからです。発生したX線の波長と強さ(強度)を表すグラフは下のようになります。
X線は波であると同時に光子であり、縦軸のX線強度は光子の数と比例関係にある数値です。電子は次から次へとターゲットに衝突し、X線の強さはλ0で最小値を取り、特定の波長でするどい山となっています。連続的に変化する部分のX線を 連続X線 といい、するどい山を持つ部分のX線を 固有X線 または 特性X線 と言います。
連続X線はなぜ連続的に変化する?
連続X線が次のグラフのように様々な波長の値を取ることは、エネルギーのやりとりから説明することができます。
衝突前に電子が持つ運動エネルギーはeV[J]であり、衝突後、光子の持つエネルギーhνと熱エネルギーQ[J]に変わります。
eV=hν+Q
が成り立ちますね。振動数νを波長λを用いて表すと以下のようになります。
eV=(hc/λ)+Q
電子が当たるごとに発生する熱エネルギーQはさまざまな値を取るので、放出される光子の波長λもさまざまな値をとることになります。その結果、連続X線が発生するのです。
波長が最小値λ0をとるときは?
また、この波長の最小値λ0について考えましょう。波長が最小になるということは eV=(hc/λ)+Q の関係から、 光子の持つエネルギーが最大になる ということですね。光子の持つエネルギーを最大とするには、 電子の運動エネルギーがすべて光子のエネルギーに変化した ということです。つまり 熱エネルギーQが0のとき なのです。
eV=(hc/λ0)+Q の式にQ=0を代入することで、波長の最小値λ0が分かります。一番短い波長λ0は、 最短波長 と呼ぶこともおさえておきましょう。
健康診断で撮るレントゲン写真など、 X線 は身近なところで活用されています。今回は、このX線がどのように生み出されるのか、そのプロセスを解説しましょう。