5分でわかる!蒸留とは
- ポイント
- ポイント
- 練習
この動画の要点まとめ
ポイント
「蒸留」 について考えるため、まずはイメージを膨らませましょう。
みなさんは、海で漂流してしまいました。
船の中でみなさんが生きていくためには、絶対に水が必要です。
しかし、海水をそのまま飲むわけにはいきませんよね。
それでは、どのようにすれば純粋な水(純水)を得ることができるでしょうか?
今回は、 食塩水から純水を得る方法 について考えていきましょう。
食塩水は、水と食塩の混合物
まずは、前回までの復習です。
食塩水が何と何からできているか、わかりますか?
食塩水というぐらいですから、水に食塩が混ざっているのでしたね。
つまり、 食塩水から食塩を取り除くと、水を得ることができる わけです。
水に溶けてしまっているものは、ろ過では取り除けない
それでは、食塩を取り除くには、どのような方法があるでしょうか?
最初にみなさんがイメージするのは、中学校で学んだ 「ろ過」 ではないでしょうか?
ろ過といえば、ろ紙を使って、液体に混ざっている固体を取り除く操作でした。
しかし、ろ過で取り除くことができるのは、液体に溶けきっていないものです。
水に溶けてしまっている物質は、ろ紙を通りぬけてしまうのでしたね。
つまり、今回の食塩のように、 水に溶けてしまっているものは、ろ過では取り除けません。
それでは、どんな方法を使えば、食塩を取り除くことができるのでしょうか?
蒸留とは、「溶液(固体+液体)から液体を分離する操作」
さぁ、食塩を取り除くために、次の図のような装置を用意してみました。
とても大掛かりで、複雑そうですね。
丁寧に解説していきます。
まず、最初に確認したいのは、「この実験では、何がしたいのか」ということです。
みなさんは、食塩水から水を得たいのでしたね。
食塩水から食塩を得たいわけではありません。
先ほどの漂流しているイメージから想像できますよね。
つまり、この実験は、 「固体と液体が混ざったものから、液体を分離する操作」 を表しています。
このような操作を 「蒸留」 といいます。
ちなみに、「固体と液体が混ざったもの」を 「溶液」 といいます。
さらに、その液体が水のときは、 「水溶液」 と呼ばれました。
つまり、今回の食塩水は、食塩(固体)と水(液体)が混ざった「水溶液」です。
溶液も水溶液も、混合物であることに変わりはありませんね。
それでは、実験の操作について、実際に見ていきます。
蒸留では、水→(加熱)→水蒸気→(冷却)→水
まず、図の左上には、枝付きフラスコがかかれていますね。
この枝付きフラスコの中に、液体が入っているのがわかりますか?
ここに、分離したい溶液(食塩水)が入っています。
さぁ、この溶液を、枝付きフラスコごとガスバーナーで温めましょう。
すると、液体が気体になるのがイメージできるでしょうか?
中学で学習した、沸騰が起こっているのですね。
ここで重要なのは、加熱によって発生した気体には、 「食塩が含まれていない」 ということです。
みなさんが食塩を加熱しても、食塩は沸騰して気体になったりしませんよね。
少し難しい言い方をすると、食塩の沸点はとても高いのです。
沸点が高いということは、気体になりにくいのですから、ガスバーナーで加熱したところで気体にはなりません。
つまり、食塩水を加熱することによって、 気体になりやすい水だけを分離する ことができるのです。
しかし、気体(水蒸気)をそのまま飲むわけにはいきませんよね。
このあと、気体(水蒸気)を液体(水)に戻す操作が必要なのです。
それでは、実験の図に戻りましょう。
フラスコの中で加熱された水は、気体(水蒸気)になります。
その水蒸気は、フラスコの枝分かれしている方向に流れて、 「リービッヒ冷却器」 に入っていきます。
これは、みなさんには聞きなれない実験器具かもしれませんね。
リービッヒ冷却器とは、「冷却」とついているとおり、その中を通りぬける物質を冷やすものです。
この実験では、 気体(水蒸気)を冷やして液体(水)にする わけです。
冷却するしくみについては、このあと詳しく解説していきます。
まずは実験の流れをおさえましょう。
リービッヒ冷却器を通ることで、気体(水蒸気)は液体(水)になります。
最後に、その液体が右下の三角フラスコに流れ込みます。
このようにして、純粋な水を得ることができました。
蒸留の仕組みを理解しておきましょう。
今回のテーマは、「蒸留」です。