5分でわかる!蒸留の注意点
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この動画の要点まとめ
ポイント
前回は、蒸留の流れについて学んできました。
しかし、蒸留を行うときには、ポイントがあります。
蒸留の注意点について、順番に見ていきましょう。
注意点①突沸を防ぐために沸騰石を入れる
まずは、注意点①です。
図の左には、枝付きフラスコがあります。
その中に入っている液体に注目してください。
液体の中に、石のようなものが入っているのがわかりますか?
この石は、沸騰石というものです。
沸騰石には、急な沸騰( 突沸 )を防ぐ働きがあります。
それでは、突沸を防ぐ必要があるのでしょうか?
突沸が起こると、急激に温度が上がります。
そうなると、枝付きフラスコが割れてしまう可能性があるのです。
安全に加熱するために、沸騰石が必要なのですね。
また、突沸が起こると、枝付きフラスコの中の液体が飛び散ることもあります。
液体が飛び散ってリービッヒ冷却器の方に流れたら、どうなるでしょうか?
せっかく、水を分離する操作をしているのに、食塩が混じっては意味がありません。
きちんと水を分離するためにも、沸騰石は必要なのです。
注意点②液体は容器の半分以下にする
次に、注意点②を見ていきます。
今度は、枝付きフラスコの中の液体の量に注目しましょう。
液体は、枝付きフラスコの容積の半分以下になっていますね。
液体をたくさん入れておけば、一度に大量の水を得ることができそうですよね。
どうして、液体を入れすぎてはいけないのでしょうか?
理由は先ほどと同じです。
液体を枝付きフラスコに入れすぎると、飛び散ってリービッヒ冷却器の方に流れこんでしまいます。
そうなると、純粋な水を得ることができないのですね。
注意点③温度計の下端を丸底フラスコの枝付近に合わせる
続いて、注意点③です。
枝付きフラスコの中に入っている、温度計に注目しましょう。
温度計の下端が、 フラスコが枝分かれしているところ(枝) に合わせられています。
どうして、この位置にする必要があるのでしょうか?
この実験では、水蒸気が発生していることを確認しなければなりません。
水の沸点は、100℃でしたね。
つまり、リービッヒ冷却器の方に流れる気体が100℃ぐらいだと、水蒸気が流れていることを確認できるのです。
その際に、液体の温度や空気の温度を測っていたのでは、意味がありませんね。
注意点④冷却水は下から上に流す
注意点④です。
図のリービッヒ冷却器を見て下さい。
リービッヒ冷却器には、上下にチューブがくっついているのがわかりますか?
実はこのチューブを使って、冷たい水を出し入れしているのです。
この冷たい水は、冷却したいもののまわりを流れていき、熱を吸収していきます。
ちなみに、水の通り道と冷却したいものの通り道はガラスで隔てられていて、混ざることはありません。
ここで重要なのは、リービッヒ冷却器についている2つのチューブのうち、 「どちらからどちらに向かって水を流すか」 です。
答えを言ってしまうと、 「下から上に流す」 です。
どうして「上から下に流す」ではいけないのでしょうか?
実際に水を流す様子をイメージしてみましょう。
上から下に流すと、水はあっという間に外に流れ出します。
すると、リービッヒ冷却器の中に水が貯まりません。
この状態では、上手く冷却することができないのですね。
そのため、中に水が貯まるように、「下から上に流す」のです。
注意点⑤三角フラスコに密栓をしない
最後に、注意点⑤です。
図の左の枝付きフラスコに注目しましょう。
枝付きフラスコの口のところには、ふたをする栓がついていますね。
化学においては、実験器具の中と外で物質の余計な出入りが行われないようにする場合があります。
そのために使われるのが、この密栓です。
なぜ、密栓をしてはいけないのかわかりますか?
この実験では液体が気体になるため、枝付きフラスコの中の物質の体積が大きくなるのです。
そのため、密栓をしてしまうと、中のガラスが圧力に耐えられなくなり、割れてしまいます。
場合によっては、アルミ箔などで軽くフタをする場合もあるので、覚えておきましょう。
以上、5つの注意点をしっかりと覚えておきましょう。
今回のテーマは、「蒸留の注意点」です。