5分でわかる!系統分離Ⅰ
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この動画の要点まとめ
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「金属イオンの系統分離」とは、沈殿を利用して金属イオンを分離する操作
これまで学んできた金属イオンと沈殿の知識を活かして、金属イオンを分離することができます。
この操作のことを、系統分離といいましたね。
今回は、本格的な系統分離にチャレンジしていきましょう。
少し複雑そうに見えますが、これまでの内容を理解していれば、そんなに難しくはありません。
今、次のイオンが含まれる溶液があります。
銀イオンAg+
銅イオンCu2+
ナトリウムイオンNa+
カルシウムイオンCa2+
この各イオンを分離していきたいと思います。
どのような手順で分離していくのか、しっかりと理解していきましょう。
【Ag+,Cu2+,Na+,Ca2+】
塩化物イオンCl-と反応して沈殿を生成するのは、Ag+・Pb2+
1番目の操作は、「希塩酸を加える」 です。
つまり、塩化物イオンCl- を加えることになりますね。
Cl-と反応して沈殿を生成するのは、どの金属イオンでしょうか?
Ag+・Pb2+ でしたね。
今回の場合、Ag+とCl-が反応して、塩化銀AgClが沈殿します。
これで、溶液からAg+を分離することができました。
【Cu2+,Na+,Ca2+】
硫化物イオンS2-からできる沈殿については、溶液の液性に注意
2番目の操作は、「硫化水素を通じる」 です。
硫化水素を通じるときのポイントは、溶液の液性でした。
酸性・中性・塩基性のいずれでも沈殿を生成するのは、Cu2+・Ag+ です。
それに対して、中性・塩基性の場合のみ沈殿を生成するのは、Zn2+・Fe2+ です。
今回の場合は、どうでしょうか?
1番目の操作で、希塩酸を加えています。
つまり、溶液は酸性になっています。
酸性条件で硫化物の沈殿を生じるのは、Cu2+ですね。
よって、Cu2+とS2-が反応して、硫化銅(Ⅱ)CuSが沈殿します。
これで、Cu2+も分離することが出来ました。
【Ca2+,Na+】
炭酸イオンCO32-と反応して沈殿を生成するのは、Ca2+・Ba2+
3番目の操作は、「炭酸アンモニウム水溶液を加える」 です。
ここで、炭酸アンモニウム水溶液には、炭酸イオンCO32- が含まれています。
CO32-と反応して沈殿を生成するのは、Ca2+・Ba2+ でした。
よって、Ca2+とCO32-が反応して、炭酸カルシウムCaCO3 が沈殿します。
これで、Ca2+を分離することができました。
残った溶液の中には、Na+が溶けています。
【Na+】
これで、各金属イオンを分離することが出来ました。
このように、金属イオンの性質を一つ一つ確認しながら、沈殿する物質を判断していくのがポイントです。
今回のテーマは、「系統分離」です。