5分でわかる!立体異性体
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この動画の要点まとめ
ポイント
前回は、異性体のうち、構造異性体について学習しました。
「異性体のうち」ということは、他にも異性体があるということになります。
まずは、異性体の種類を確認しましょう。
異性体には、構造異性体と立体異性体がある
図の左の方に注目すると、異性体は、構造異性体と立体異性体に分かれています。
構造異性体は、異性体のうち、分子式が同じで構造式が異なるもののことでした。
それに対して、立体異性体とは、分子の立体的な構造が異なるために生じる異性体のことです。
立体異性体は、シス・トランス異性体(幾何異性体)と鏡像異性体(光学異性体)
さらに、立体異性体は、 シス・トランス異性体(幾何異性体) と 鏡像異性体(光学異性体) に分かれます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
シス・トランス異性体(幾何異性体)とは、炭素間の二重結合が原因で生じる異性体
まずは、シス・トランス異性体(幾何異性体) です。
図には、2つの有機化合物があります。
左側をマレイン酸、右側をフマル酸といいます。
みなさんは、この2つの違いがわかりますか?
COOHの位置に注目しましょう。
マレイン酸の場合は、2つの「COOH」が両方とも下についています。
このような異性体を、シス型といいます。
それに対して、フマル酸の場合は、片方の「COOH」が下、もう片方が上についています。
このような異性体を、トランス型といいます。
とはいえ、結合している物質は同じなのに、どうしてこの2つを区別する必要があるのでしょうか?
ポイントは、炭素間の二重結合です。
詳しくは、アルケンのところで解説しますが、二重結合は回転させることができません。
そのため、シス型とトランス型は、まったく別の構造なのです。
以上の内容をまとめましょう。
異性体の中には、炭素間の二重結合が原因で生じるものがあります。
このような異性体を、シス・トランス異性体または幾何異性体といいます。
鏡像異性体(光学異性体)とは、もとの像と鏡像のように、互いに重ね合わせることができない異性体
もう一つの立体異性体を紹介します。
次の図を見てみてください。
図の左には、乳酸という物質の構造が立体的に表されています。
少しわかりにくいかも知れませんが、炭素Cを中心にしてHと3種類の官能基が結合しています。
そして、図の右にも同じような物質がありますね。
これら2つは、ちょうど鏡写しの関係にあります。
実は、この2つも異性体なのです。
わかりやすいように、みなさんの左右の手をイメージしてください。
手は左右対称で鏡写しの状態にありますが、どんな風に回転させてみても、同じ向きになることはありませんね。
乳酸もこれと同じ状態になっているわけです。
ちなみに、鏡像異性体ができるのはCと結合する4つの基がすべて異なるときだけです。
こちらも注意しておきましょう。
以上の内容をまとめると、鏡像異性体 とは、もとの像と鏡像のように、互いに重ね合わせることができない異性体です。
また、鏡像異性体は、光に対する性質が異なるため、光学異性体ともよばれます。
様々な異性体について、分類をしっかりと押さえましょう。
今回のテーマは、「立体異性体」です。