「円周角の定理の逆」の重要ポイント
1.「円周角の定理」とは?
円周角の定理について確認しておきましょう。
1つの弧ABに対する円周角の大きさは一定になりましたね。上の図で,点Pが弧ABをのぞく円周上にあるとき,∠APBの大きさは等しくなりました。
2.ポイント
円周角の定理が「円→円周角が一定」ならば,円周角の定理の逆は「円周角が一定→円」を導く定理です。
円周角の定理の逆
詳しく解説しましょう。4点A,B,C,Dがあるとき,点A,Bを通る弧ABを考えます。
この弧ABに対して,もし∠ACB=∠ADBであるならば,1つの弧に対する円周角が等しいという円の性質に合致し,点C,Dは点A,Bと同一円周上にあると言えるのです。
もし∠ACB≠∠ADBであるならば,1つの弧に対する円周角が等しいという円の性質に合致しないので,点C,Dは点A,Bと同一円周上にありません。
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3. 「4点が同じ円周上」を判定する問題
問題1
4点A,B,C,Dが同じ円周上にあるものを次の(1)~(3)から選びなさい。
問題の見方
問題文の 「4点A,B,C,Dが同じ円周上にある」 という表現にピンときてください。円周角の定理の逆を使う問題です。
円周角の定理の逆
この問題では,4点A,B,C,Dのうち,2点を選んで弧をイメージし,それに対する円周角を考えます。(1)~(3)について,弧BCをイメージすると考えやすくなります。それぞれ「∠BAC=∠BDC」が成り立つかどうかを調べてみましょう。成立すれば, 「4点A,B,C,Dが同じ円周上にある」 と言えます。
解答
$$\underline{(1),(2)}……(答え)$$
(1)
$$∠BAC=∠BDC=90^\circ$$
(2)
外角の和の公式より,
$$∠BAC=120^\circ-40^\circ=80^\circ$$
よって,
$$∠BAC=∠BDC=80^\circ$$
(3)
内角の和の公式より,
$$∠BDC=180^\circ-(40^\circ+60^\circ+45^\circ)=35^\circ$$
よって,
$$∠BAC≠∠BDC$$
映像授業による解説
5. 四角形の角度を求める問題
問題2
図の四角形ABCDで,∠x,∠yの大きさをそれぞれ求めなさい。
問題の見方
四角形の角度を求める問題です。しかし,三角形・四角形の内角の和を活用して解こうとすると,上手くいきません。
例えば,△ABCで内角の和を考えると,
$$∠x+50^\circ+52^\circ+∠y=180^\circ$$
となり,∠x,∠yという2つの未知数が出てしまいます。これでは,x,yの値が定まりません。
ここでは,発想を転換して,∠BAC=∠BDCという関係に着目します。弧BCに対する円周角と見立てると,4点A,B,C,Dは同じ円周上にありますね。すると,円周角の定理から,∠x=∠ADBとして求めることができますね。この発想は,知っていないとなかなかできません。頻出パターンではありませんが,高校受験の問題などでは証明問題と組み合わせて時々出題されます。頭の片隅に入れておきましょう。
解答
∠BAC=∠BDCより,4点A,B,C,Dは同じ円周上にある。
円周角の定理より,
$$∠x=∠ADB=\underline{35^\circ}……(答え)$$
△ABCで内角の和より,
$$∠y=180^\circ-(50^\circ+52^\circ+∠x)$$
$$∠y=180^\circ-(50^\circ+52^\circ+35^\circ)$$
$$∠y=180^\circ-137^\circ=\underline{43^\circ}……(答え)$$
映像授業による解説
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この記事は、 「『円周角の定理の逆』がわからない…」という人に向けて解説 します。数学が苦手な人でもこの記事を読めば、「4点が円周上にある」ことを示す問題がサクッと解ける ようになります。