全反射とは ~全反射のしくみ・具体例~
1. ポイント
光が、水やガラスの中から空気へと進むようすをイメージしてください。
光の入射角がある角度になると、すべての光が反射する現象を全反射 といいます。
全反射は、鏡でもみられますし、光ファイバーにも利用されている現象 です。
全反射のしくみをきちんと理解するためには、光の3つの性質から復習する必要があります。
順を追って学習していきましょう。
2. 光の屈折
光には3つの性質があります。
直進・反射・屈折 です。
屈折とは、 光が異なる物質どうしの境界へ進むときに、境界の面で光が折れ曲がる現象 です。
図では、光は左上から右下へと進んでいきます。
このとき、屈折する前にできる角度を 入射角 、屈折したあとの角度を 屈折角 といいます。
光の屈折のしかたは、大きく2つに分けられます。
左の例では、光が空気中から水中へ進んでいます。
この場合、 屈折角が入射角よりも小さくなる ことが特徴です。
左の例では、光が水中から空気中へ進んでいます。
この場合、 屈折角が入射角よりも大きくなる ことが特徴です。
屈折とは、光が異なる物質どうしの境目で折れ曲がる現象
映像授業による解説
3. 全反射のしくみ
さて、光の屈折について思い出したところで、全反射について考えていきます。
水の中から空気へ進むようすをイメージしてみましょう。
光の入射角が小さいときは、ほとんどすべての光が屈折し、空気へ進みます。
しかし、しだいに入射角を大きくしていくと、 屈折角は90°に近づいていきます。
最終的に、 入射角がある大きさになると、すべての光が水面で反射するようになる のです。
この現象が、 全反射 です。
全反射が起こるには、決まった条件があるのですね。
全反射とは、異なる物質どうしの境目で、すべての光が反射すること!
4. 全反射の利用例
全反射は私たちの身近にもみられる現象です。
もっとも有名な利用例は、 光ファイバー です。
光ファイバーとは、透明度の高いガラスやプラスチックでできた繊維のことです。
これをケーブル状にしたものは、 インターネット回線などに利用 されています。
光ファイバーの中では、光が全反射を繰り返しながら、非常に速く伝わっていきます。
光は、非常に速く伝わるため、瞬時に情報を伝達することができるのですね。
このような光ファイバーの発明によって、大量の情報を高速で遠くまで送ることができるようになり、インターネットが発達してきたわけです。
全反射の応用例は、光ファイバー
5. 【問題と解説】 全反射の利用例
みなさんは、全反射のしくみや利用例について理解することができましたか?
最後に簡単な問題を解いて、知識を確認しましょう。
問題
次のうち、全反射を利用しているものはどれ?
A 顕微鏡
B 映写機
C ルーペ
D 光ファイバー
解説
A~Cは、いずれも 凸レンズ をつかった器具です。
凸レンズは、光の 屈折 を利用して、像を作るはたらきをします。
これに対して、Dの光ファイバーは、 全反射 を利用しています。
光ファイバーは、透明度の高いガラスやプラスチックの繊維でできています。
この繊維の中を光が伝わることにより、インターネット回線などに利用されています。
(答え)
D 光ファイバー
6. Try ITの映像授業と解説記事
「光の入射角と屈折角」について詳しく知りたい方はこちら
この記事は、 「全反射のしくみや具体例がわからない」という人に向けて解説 します。
全反射は少し特殊な現象ですが、仕組みを理解すれば難しくはありません。
問題を解きながら、わかりやすく解説していきます。