飽和水蒸気量とは ~露点とは、湿度とは、湿度の計算問題の解き方~
1. ポイント
みなさんは図のような気温と飽和水蒸気量の関係を見たことはありますか?
気温が高いほど飽和水蒸気量が大きく、空気中により多くの水蒸気を含くむことができる ということを表していますね。
そして、空気中の水蒸気が水滴になり始めるときの温度を 露点 と呼びます。
さらに、空気中の水蒸気量を、その気温における飽和水蒸気量で割ると、 湿度 を求めることができます。
湿度=(空気1m3中に含まれている水蒸気量)/(その気温における空気1m3中の飽和水蒸気量)×100
湿度の計算問題では、計算方法を丸暗記していても、テストでは対応できません。
きちんとしくみを理解して、実際に問題を解けるように対策していきましょう。
2. 飽和水蒸気量とは
みなさんは、普段意識していないかもしれませんが、空気中には水蒸気が含まれています。
ただし、空気中に含まれる水蒸気の量には、限界があります。
1m3の空気中に含むことができる最大の水蒸気量 を、 飽和水蒸気量 といいます。
飽和水蒸気量の単位は、 g/m3 です。
また、飽和水蒸気量は、空気の温度が高いほど増えていきます。
この関係を表したのが、次の表です。
飽和水蒸気量とは、1m3の空気中に含むことができる最大の水蒸気量
3. 飽和水蒸気量のグラフと露点
また、飽和水蒸気量は、次のようなグラフで表すこともできます。
このグラフのことを、 飽和水蒸気量曲線 といいます。
空気中の水蒸気量が飽和水蒸気量と等しくなる温度を、 露点 と呼びます。
つまり、空気が冷やされて、水滴ができはじめる温度のことです。
露点における空気中の水蒸気量は、飽和水蒸気量と等しい(露点では湿度100%)
映像授業による解説
4. 湿度の求め方
空気の湿り気をあらわす値である 湿度 を求める方法を見ていきましょう。
湿度または相対湿度は、次のような式で求めることができます。
湿度=(空気1m3中に含まれている水蒸気量)/(その気温における空気1m3中の飽和水蒸気量)×100
みなさんは、この式の意味がわかりますか?
飽和水蒸気量とは、その温度において含まれる水蒸気の最大量です。
その最大量に対して、実際に空気中に含まれている水蒸気がどのぐらいの割合かを表しているのです。
そう考えると、この式が何を表しているのか、わかってきますね。
映像授業による解説
5. 【問題と解説】 湿度の計算
みなさんは、飽和水蒸気量と露点・湿度の関係について理解することができましたか?
最後に簡単な問題を解いて、知識を確認しましょう。
問題
次のグラフは、空気中に含まれる水蒸気の量と気温の関係を表したものである。
曲線は飽和水蒸気量の変化、黒い四角は空気中に含まれる水蒸気の量を表している。
これについて、あとの問いに答えよ。
(1) A~Cのうち、どれかが露点を表している。それはどれ?
(2) 1m3の空気の温度が15℃から5℃に下がったとき、発生する水滴の質量は?
(3) 気温が25℃のとき、この空気の湿度は?(小数点以下を四捨五入して整数で答えよ。)
解説
(1)
露点とは、空気が冷やされて、水滴ができ始める温度のことでした。
このとき、空気中の水蒸気の量が飽和水蒸気量と等しくなっています。
Cの空気が少しずつ冷やされていくことをイメージしてみましょう。
飽和水蒸気量曲線と空気中の水蒸気量が一致するのは、Bのときですね。
よって、露点はBの15℃となります。
(答え) B
(2)
15℃(露点)においては、飽和水蒸気量と等しい13gの水蒸気が含まれています。
この空気が5℃まで冷やされると、7gまでしか含むことができません。
よって、発生する水滴の量は、13-7=6gとなります。
(答え) 6g
(3)
25℃の空気について、水蒸気量を整理しましょう。
飽和水蒸気量:23g/m3
含まれている水蒸気量:13g/m3
よって、湿度は、次のように求めることができます。
13÷23×100=56.5…≒57
(答え) 57%
6. Try ITの映像授業と解説記事
「飽和水蒸気量と湿度」について詳しく知りたい方はこちら
「飽和水蒸気量曲線と露点」について詳しく知りたい方はこちら
この記事は、 「飽和水蒸気量をあらわす曲線の読み方や湿度の求め方がわからない」という人に向けて解説 します。
湿度を求める計算がニガテという人は多いですが、気温と飽和水蒸気量の関係それぞれの意味を理解すれば簡単に式をたてることができます。
計算問題として定期テストや入試にもよく出題されるテーマなので、問題を解きながら、わかりやすく解説していきます。