5分でわかる!再吸収
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この動画の要点まとめ
ポイント
濃度がα倍に変化したとき、体積は逆数倍になる!
原尿量が1日どれくらいあるのかは、直接調べることが難しいですよね。原尿は、血液が糸球体でろ過された直後の液体成分になるので、なかなか取り出すことができません。
そこで実際に腎臓から原尿を吸引して測るのではなく、 原尿量計算 を用いて求めることになります。食塩水を例にとって考えてみましょう。
図のように100gの食塩水に対して10gの食塩が溶けているとき、その濃度は10÷100×100=10(%)です。次に、食塩の量はそのままで、水だけ50g蒸発した場合、その濃度は10÷50×100=20(%)になりますね。さらに、その水を蒸発させて、食塩水20gにした場合、その濃度は10÷20×100=50(%)となります。
このように、水分だけが失われて濃度が変化する場合、それぞれの食塩水の量と濃度を比較してみると、食塩水が100gから50gになったとき、 食塩水の量は1/2倍に対して濃度は2倍 、100gから20gになったとき、 食塩水の量は1/5倍に対して濃度は5倍 になっています。つまり、濃度変化を α倍 としたとき、食塩水の量(体積)の変化は 1/α倍 になるということです。
イヌリンを用いて原尿量を計算
この法則を原尿量の計算に適応させましょう。 イヌリンは原尿から尿にかけて全く再吸収されない 物質でしたね。例えば、下図のように、イヌリン濃度0.001%の原尿から、イヌリン濃度0.12%の尿1.5ℓが採取されたケースで、原尿量を求めてみましょう。
濃度変化(濃縮率)は0.12÷0.001= 120(倍) になっていますよね。このときの体積の変化は逆数倍の 1/120(倍) になることがわかります。したがって、
(原尿量)=(尿量)×(イヌリンの濃縮率)
⇔(原尿量)=1.5(ℓ)×120(倍)=180(ℓ)
と求められます。
イヌリンは体では作られない成分で、原尿量を計算するときにわざわざ体に投与される物質です。濃縮率と原尿量の計算方法をしっかりおさえておきましょう。
続いて、血しょう、原尿、尿に含まれる成分の濃度から 1日の原尿量 を計算する方法を学習していきましょう。