今回のテーマは、「ブレンステッド・ローリーの定義」です。

前回は、 アレーニウスの定義 について学習しましたね。
酸は、 「酸は水溶液中で電離して、水素イオンを生じる物質」 のことです。
塩基は、 「塩基は水溶液中で電離して、水酸化物イオンを生じる物質」 のことでした。

このように、アレーニウスは、電離して水素イオンを生じるのか、水酸化物イオンを生じるのかに注目したわけです。

しかし、ここで一つ疑問が出てきます。
アンモニアNH₃ を例に考えてみましょう。
NH₃は、 塩基 として有名ですよね。

しかし、Ca(OH)₂やKOHとちがって、 NH₃にはOH^-が含まれていません。
それなのに、NH₃を塩基に分類してもよいのでしょうか？

この点について詳しく研究したのが、 ブレンステッド と ローリー という二人の研究者です。
ブレンステッド・ローリーの定義について、詳しくみていきましょう。

図のように、 NH₃ と HCl の反応を考えます。
それぞれの分子のモデル図が下にかかれていますね。
左辺と右辺を比べて、どのような変化が起こっているか、わかりますか？
HClからNH₃へと、 H⁺が移動している のです。

ブレンステッドとローリーはこの点に注目して、次のような定義を考えました。
　　 酸 ：相手にH⁺を 与える 分子やイオン
　 塩基 ：相手からH⁺を 受け取る 分子やイオン

酸の定義はアレーニウスと似ていますが、塩基の定義が大きく異なっていますね。
きちんとルールを覚えておきましょう。